2011.12.31

【Best Disc 2011】 André Mehmari "Canteiro"

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●André Mehmari "Canteiro"

※あまりにも圧倒されていて、音楽そのものとはあまり関係ない話かもしれません(世の中にはこういう文章がたくさんあるのでご注意を)。こちらのサンプルを聴きながら、どうぞ。

André Mehmari - CANTEIRO CD 1 (samples) on SoundCloud
André Mehmari - CANTEIRO CD 2 (trechos/samples) on SoundCloud


21世紀ブラジルにおける、最高のピアニスト、最高のアレンジャーということになるのではないか、この人は。
ここ100年にわたるこの国の遺産、名前を挙げるなら――ヴィラ=ロボス、ピシンギーニャ、ハダメス・ニャッタリ、エギベルト・ジスモンチにいたる音楽を継承しつつ、更新する勢いすら感じさせる。その勢いを紐解くべく、耳をこらしてみればみるほどに、すくなくともここ5世紀ぶんほどのクラシック音楽のあれこれが飛びだしてくる。しかもその一瞬ごとに、ブラジル音楽らしい瑞々しさがしっかりと刻まれているのだから。20数種類におよぶ楽器をこなし、素晴らしいコンポーザーでもあり、録音にミックス、マスタリングまでを行なう天才が、自分でもマイクに向かいつつ、10人近くの歌手をゲストに招いて作った「歌もの」アルバム。
完璧すぎるところが唯一の欠点、という表現があるけれど、まさにそんな感じで、綻びのなさがつまらないという意見もわかる。そういう人には、演奏者としての個性がよりわかりやすく出ている他のアルバムをおすすめするべきかもしれない。ピアニストとしても一聴して「この人」とわかる個性、サウンドの持ち主で、そういう面では今年同じくリリースされたバンドリン奏者のアミルトン・ヂ・オランダとのデュオ作『gismontipascoal』を。ただしこちらも、文句の付けどころは微塵もないのだけれど。