2012.09.25
sense of "Quiet" Minas
sense of “Quiet” Minas
静かなる音楽を紹介するフェスティバル<sense of "Quiet">。
第二回目は2012年10月18日、ブラジル、ミナス・ジェライス州都のベロ・オリゾンチでの開催です。
2012年5月に東京および鎌倉にて第一回目を開催した当フェスティバルは、静かなる音楽を紹介することを目的にスタートしました。
第一回目は日本・ブラジル・アルゼンチンより計6組を招聘しての開催でしたが、その第二回目・ミナス版となる今回は、内省的で高度な音楽家を輩出する土地として名高いミナスの地で、地元出身の優れたアーティストたちに焦点を当てた内容です。7組のアーティストが3つの大きなパーティーとして集結/出入りして、どの瞬間をとってもここでしか聴くことのできないプログラムに結実します。
ローカル・プロデューサーを務めるのは、現代ミナス・シーンの中心的存在でもあるヘナート・モタ。フェスティバル全体の企画プロデュースはNRTが行っています。
いずれも静寂を表現するにふさわしい表現者揃いで、その多くはここ10年ほどの交流がもとになり、今回の出演へと繋がったものです。
出演者のなかからいくつか動画をピックアップしてご紹介します(徐々に追加していく予定)。
●Renato Motha & Patricia Lobato
名実ともに<クワイエット>を代表するアーティスト。
ともに2012年5月の<sense of "Quiet">東京公演の映像で、新作『スニエ』収録曲です。
●Rafael Martini
強者揃いのミナス新世代のなかでも、中核的な存在がこのハファエル・マルチニ。アルバム『Motivo』も素晴らしかったです。
下の動画では、ドラムスにアントニオ・ロウレイロ、フルートにアレシャンドリ・アンドレス、クラリネットにジョアナ・ケイロス…という若き天才たちを従えています。
今世紀ブラジルのインスト系音楽を牽引していくのは、間違いなく彼らでしょう。
●Sérgio Pererê
●Regina Souza
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2012.09.12
radio program 【sense of "Quiet"】 #3
時代の静寂と寄り添う「静かなる音楽」を紹介するラジオ番組<sense of "Quiet">。9月放送回が本日アップされました。
インターネット・ミュージック・ステーション「JJazz.Net」にて、PCやスマートフォンで、いつでも好きなときに、無料で聞くことができます。
番組内容の更新は一ヶ月おきです。9月のプレイリストはこちら。
【sense of "Quiet" #3】
1. Music By William Eaton - 01 / William Eaton アルバム『Music By William Eaton』より
2. McPhee: Balinese Ceremonial Music - Gambangan / Benjamin Britten, Colin McPhee アルバム『Prince of the Pagodas Suite』より
3. McPhee: Balinese Ceremonial Music - Taboeh Teloe / Benjamin Britten, Colin McPhee アルバム『Prince of the Pagodas Suite』より
4. Rideaux Lunaires / Chilly Gonzales アルバム『Solo Piano II』より
5. Contramarea / Quique Sinesi アルバム『Cuentos De Un Pueblo Escondido』より
6. La Flor De La Luna / 笹久保伸 アルバム『翼の種子』より
7. Luz do Sertão / Yuri Popoff アルバム『Lua no Céu Congadeiro』より
sense of Quiet jingle1
8.圏内の歌 / 七尾旅人 アルバム『リトルメロディ』より
9. Olha O Que Ela Fêz Participação de Jane Morais / Eduardo Gudin アルバム『Eduardo Gudin』より
2012.08.08
radio program 【sense of "Quiet"】 #2
時代の静寂と寄り添う「静かなる音楽」を紹介するラジオ番組<sense of "Quiet">。8月放送回が本日アップされました。
インターネット・ミュージック・ステーション「JJazz.Net」にて、PCやスマートフォンで、いつでも好きなときに、無料で聞くことができます。
番組内容の更新は一ヶ月おきです。8月のプレイリストはこちら。
【sense of "Quiet" #2】
1. Music By William Eaton - 01 / William Eaton アルバム『Music By William Eaton』より
2. Y Que Hay De Ti / Guyun Y Su Grupo アルバム『Canta Elisa Portal』より
3. Y Se Escucha El Rio / Guillermo Rizzotto アルバム『Sólo Guitarra』より
4. 君に / 世武裕子 アルバム『アデュー世界戦争』より
5. 私は知らない / 寺尾紗穂 アルバム『青い夜のさよなら』より
6. Promise feat. Renato Motha & Patricia Lobato, 東野珠実 / NO NUKES JAZZ ORCHESTRA アルバム『NO NUKES JAZZ ORCHESTRA』より
7. カナリアの鳥かご / Hugo Fattoruso アルバム『Acorde On』より
2012.07.12
radio program 【sense of "Quiet"】 #1
静かなるフェスティバル<sense of "Quiet">の世界観が、ラジオ番組になりました。
インターネット・ミュージック・ステーション「JJazz.Net」にて、PCやスマートフォンで、いつでも好きなときに、無料で聞くことができます。
番組内容の更新は一ヶ月おきです。7月のプレイリストはこちら。
【sense of "Quiet" #1】
1. Music By William Eaton - 01 / William Eaton アルバム『Music By William Eaton』より
2. The Need To Be feat. 坂本龍一 / DBR アルバム『etudes4violin&electronix』より
3. Mar Adentro feat. Carlos Aguirre / Sinesi-Moguilevsky アルバム『Soltando Amarras』より
4. Ra Ma Da Sa / Renato Motha & Patricia Lobato アルバム『Sunni-e』より
5. Weather / Me'Shell Ndegéocello アルバム『Weather』より
JJazz.Net
JJazz.Net > sense of "Quiet" #1
今後はライブやインタビューなども交えて、クワイエットの世界をより膨らませていく予定です。お楽しみに!
2012.06.19
sense of "Quiet" 5/13 Setlist @鎌倉 光明寺
sense of "Quiet" 3日間のセットリストがようやく判明しましたので、日付ごとにアップします。
改めてご来場くださった皆様にお礼を申し上げます。ありがとうございました。
スタッフ・関係各位にも多大な感謝を。
5/13(日) @鎌倉・光明寺
【東野珠実】
1. 雅楽古典曲 "調子"
2. "Two3 for sho and conc shell"
3. "Möbius link 1.1 〜そしてあらゆる躍動を慈しむように静寂はそこにたゆたっている〜"
4. 雅楽古典曲 "調子"
まずは笙奏者・東野珠実から演奏スタート。
古典曲、オリジナル(M3)、ジョン・ケージ曲(M2)とヴァリエーションのある演目。
この第一部では、基本的にマイクを通さず生音での演奏(2曲目の法螺貝演奏のみPAを通した)。
最後の笙のトリオ演奏では、演奏者が客席のなかに移動し、正三角形に取り囲むかたちでの演奏を繰り広げた。
【Renato Motha & Patricia Lobato】
1. Ong Namo 2
2. Ong Sohong
3. Guru Ram Das
4. Chattra Chakkra
5. Pingo D'agua
6. A Terra E Verde
7. Planos
8. Flor De Mim
9. As Bolas De Sabao
10. Sunni-e
11. Sat Narayan
12. Suite Kundalini Mantras
Encore (with 東野珠実):
1. Sat Num
2. Wahe Guru
第二部のヘナート・モタ&パトリシア・ロバートは、
既におなじみとなったマントラ演奏に、彼らの元々のスタイルであるMPB(ブラジリアン・ポップス)曲を挟む構成。
千数百年前の古典曲を演奏する東野珠実。
古いものでは紀元前一千年由来、つまりは三千年前のマントラを演奏するヘナート&パトリシア。
アンコールではこの二組によるマントラ・セッションも実現した。
雄大な時の流れを一瞬にして遡るような強烈なトリップ感覚のなかで、二組の音色が交流したまさにそのとき。光明寺の鐘の音が静かに重なる奇跡をみた。
場内が声にならない驚きで満たされたあの瞬間。今後どれだけイベントを重ねていったとしても、決して忘れることはないだろうと思う。
※photo1-3, 8-9 by Rai Shizuno
※photo4-7 by Ryo Mitamura
2012.06.19
sense of "Quiet" 5/15 Setlist @東京 草月ホール
5/15(火) @東京・草月ホール
【青葉市子】
1. 灰色の日
2. レースのむこう
3. パッチワーク
4. 私の盗人
5. 日時計
6. 機械仕掛ノ宇宙
7. 奇跡はいつでも
東京・草月ホールに舞台を移しての二日目は、青葉市子による第一部からスタート。
極度の緊張により、手元も口元もずっと震えていたという後日談が信じられない、ほとんど神憑りのパフォーマンス。
集大成的な選曲、唯一のカヴァーM6(山田庵巳作)まで、ギターも歌も、独自としか言いようのない個性と才能で、アギーレ&シネシ、ヘナート&パトリシアの海外組全員を驚嘆させた。この日場内で観覧していたヘナート&パトリシアが即座にスタンディング・オベイションしたことも、今や語り草。
【Carlos Aguirre with Quique Sinesi】
1. La Tarka
2. A Beto
3. Con Los Primeiros Pájaros De La Mañana
4. Pasarero
5. ¿Serás Verdad?
6. Caracol
7. Un Pueblo De Paso
8. Milonga Gris
9. Druida
10. Los Tres Deseos De Siempre
11. Hiroshi
12. Danza Sin Fin
Encore:
1. El Hechizo De Tu Nombre
2. Andando
第二部は、カルロス・アギーレによるリーダー名義のコンサート。6曲目から8曲目までの3曲でソロ演奏パートを挟みつつ、あとは全てキケ・シネシを帯同するかたちでの演奏。
何しろあんなふうに息のあったピアノとギターのデュオ演奏を見たことがない。二人の音が重なる瞬間ごとに、さまざまな風景や色彩、匂いまでが波のように次々と押し寄せて、胸を締めつけるメロディの世界へと連れ去っていってくれる。
アギーレのパフォーマンスは、2010年、初来日時のソロ演奏とは全く別次元を思わせるもので、その演奏性の高さ、自由度、表現の開放されたさまに、誰もが心地良い驚きと、熱狂を覚えたことと思う。
満場のスタンディング・オベイションとともに終演。
※photo1-11, 15-17 by Rai Shizuno
※photo12-14 by Ryo Mitamura
2012.06.19
sense of "Quiet" 5/16 Setlist @東京 草月ホール
5/16(水) @東京・草月ホール
【Quique Sinesi guest: Carlos Aguirre】
1. La Magia Está Dentro Tuyo - Candombe - Cancion Hacia Vos
2. Alta Paz
3. Otro Día
4. La Solitalia
5. Danza Sin Fin
6. Compañero de Ruta
7. Donde Quiera Que Estés
8. De-Fa-Ra
最終日の三日目は、キケ・シネシ名義での本邦初コンサートを第一部に。
南米ギター界の巨匠たりとも、さすがに開演前は少し落ち着かない様子だったものの、蓋をあけてみれば完璧のパフォーマンス。名盤『Danza Sin Fin』収録曲を中心とした演目に息をのむばかり。
前日もそうだが、一音一音の粒の安定感、そして即興時の無尽蔵に溢れ出るフレージングの数々に、いつまでも続くような高揚感をおぼえる。しかもというか、それにもまして曲が良い。演奏技術の高さ、手数と相反するような、静謐で深みのある美しい曲を書く人だと思う。よくいわれるように、フォルクローレ、タンゴ、ジャズ、クラシックといった多岐にわたるジャンルで活動する演奏家としての諸要素が結晶化したようなコンポーザーで、そうした魅力を十二分に伝えるセットだったと思う。後半からはカルロス・アギーレが加わり、そうなるともうどちらがリーダーであるとか、どちらが作曲者かなんてことを超えた、二人の音楽としかいいようのない世界が展開されていた。このデュオ名義でのレコーディングもスタートしているとのこと、リリースされる日が本当に楽しみだ。
【Renato Motha & Patricia Lobato】
1. Encantado João
2. Planos
3. Pingo D'agua
4. Alegre Ou Triste?
5. A Terra E Verde
6. Flor De Mim
7. As Bolas De Sabao
8. Ong Namo
9. Ong Sohong
10. Sunni-e
11. Suite Kundalini Mantras
Encore:
1. Los Tres Deseos De Siempre (with Carlos Aguirre & Quique Sinesi)
2. Sat Narayan (with Carlos Aguirre, Quique Sinesi & 青葉市子)
そして大トリがヘナート&パトリシア。沢田穣治、Mayaとの演奏もさらに歯車が噛み合い、グループらしい一体感によってスケールの大きい音を鳴らしていたと思う。マントラとMPBを一つのコンサートで融合するというアイデアを無理なく成立できたのも、単なるサポートを超えた二人とのコラボレーションによるものだ。
アンコールにはアギーレ&シネシも交えて、アギーレの代表曲「Los Tres Deseos De Siempre」を6人で演奏。ヘナート&パトリシアの歌にアギーレも感涙していた、という証言もいくつか聞いた。
さらに最後は青葉市子も加わり、ヘナート&パトリシアのマントラ名曲「Sat Narayan」を全員で。音楽は国や言語、ジャンルを超えるとはよく聞く常套句だが、それぞれのボーダーを超えた先に新しい言語、音楽を獲得した瞬間に立ち会えることはなかなかないと思う。この日もまたスタンディング・オベイションで見送ってくださった皆様と、これからもこういう機会を重ねていければと思う。
カルロス・アギーレ、キケ・シネシ、ヘナート・モタ&パトリシア・ロバート、青葉市子、東野珠実。この5組の音楽家に、今後もぜひご注目ください。
そしていつかきっと、また。
※photo1-9, 11-14, 16-21 by Rai Shizuno
※photo10, 15 by Ryo Mitamura
2012.05.29
sense of "Quiet" 紹介記事一覧
sense of "Quiet"の紹介記事が、下記の雑誌等でご覧になれます。
リリースされたものから順に追記していく予定です。
発行日 誌名
【雑誌等】
3/20 LATINA 出演アーティスト紹介記事(4ページ) ※松山晋也さん執筆。必読です!
3/20 ecocolo カルロス・アギーレ インタビュー ※アルゼンチン取材!
4/20 MUSIC MAGAZINE カルロス・アギーレ インタビュー(4ページ)
4/20 FIGARO japon イベント紹介記事(1/2ページ) ※橋本徹さん執筆
4/20 intoxicate カルロス・アギーレ インタビュー(1ページ)
4/20 LATINA キケ・シネシ 表紙&インタビュー(4ページ)
4/21 日本経済新聞夕刊 イベント紹介記事
4/23 朝日新聞夕刊 イベント紹介記事
4/23 現代ギター イベント告知
5/04 ソトコト イベント紹介記事
5/20 MUSIC MAGAZINE 特集 ヘナート&パトリシア、カルロス・アギーレ 南米各地から聞こえてくるプログレッシヴな音楽(8ページ)
5/28 朝日新聞夕刊 5/16公演コンサート評
5/29 日本経済新聞夕刊 5/16公演コンサート評
6/20 LATINA カルロス・アギーレ、キケ・シネシ、ヘナート&パトリシア 表紙&インタビュー
6/20 MUSIC MAGAZINE ヘナート&パトリシア インタビュー&コンサート評
6/20 intoxicate ヘナート&パトリシア、キケ・シネシ インタビュー
【WEB/ラジオ等】
2/20 @oops! ミュージック ニュース
3/04 J-WAVE SAUDE! SAUDADE... blog
3/15 BRISA Topics
3/27 International Press ※ポルトガル語版
3/29 dacapo カルロス・アギーレ&キケ・シネシ そして「クワイエット」な祝祭
4/04 International Press ※スペイン語版
4/13 JJAZZ.Net blog
4/29 webDICE 「独力でフェスを成功させる方法」sense of "Quiet"の成田氏に聞く
5/08 DOMMUNE sense of "Quiet"の世界 ※カルロス・アギーレ&キケ・シネシ、ヘナート・モタ&パトリシア・ロバートのスタジオ・ライブも!
5/11 TOWER RECORDS ONLINE カルロス・アギーレ インタビュー
5/12 J-WAVE 360°東野珠実 トーク出演
5/14 NHK-BS 「エル・ムンド」 カルロス・アギーレ&キケ・シネシ LIVE&インタビュー ※期間限定で有料視聴できます!
6/10 J-WAVE 「Saude! Saudade」 ヘナート・モタ&パトリシア・ロバート スタジオライヴ
6/17 J-WAVE 「Saude! Saudade」 カルロス・アギーレ スタジオライヴ
6/24 J-WAVE 「Saude! Saudade」 キケ・シネシ スタジオライヴ
2012.02.18
sense of "Quiet" チケットご予約について
5/13以降のご予約は、下記ディスクガレージ、チケット取扱各店、または当日会場受付までお問合せ下さい。
当日券予約:
●5月16日公演分 → ①12:00からディスクガレージにて予約受付開始 ②当日17:00より会場にて発売予定
ディスクガレージ受付電話番号 03-5436-9700 (受付時間 12:00~16:00)
※当日券料金での予約となります。
※予定枚数になり次第受付を終了いたします。
チケット取扱店 ※チケットの在庫については各店舗まで直接お問合せください。
【5/15・16 東京公演】
SPIRAL RECORDS(販売終了)、BEAMS RECORDS(販売終了)、Bar Blen blen blen(販売終了)、bar music(販売終了)、bar bossa(5/16のみ在庫)、diskunion新宿本館ラテン・ブラジルフロア(販売終了)、diskunion渋谷ジャズ/レアグルーヴ館(販売終了)、diskunionJazzTOKYO(販売終了)
NRT予約:
終了しました。
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【ご来場に際しての注意事項】
●撮影/録音は固くお断りいたします。
●車いすでのご来場については事前にお問い合わせください。対応できない場合もございますので、ご了承ください。
2012.02.18
sense of "Quiet" 出演アーティスト紹介
クワイエットな熱狂、心静かなフェスティバル。
時代の静寂に寄り添う新しい作曲のかたち、新しい音楽家を紹介する3日間。
【出演アーティスト/下記に紹介コメントがあります】
Carlos Aguirre
Renato Motha & Patricia Lobato
Quique Sinesi
青葉市子
東野珠実
<クワイエット><静かなる音楽>というキーワードのもと、国やジャンルをこえて注目を集める音楽家たち。
いずれも新奇さよりは普遍性に関心を寄せているようにみえながら、その時空を越えた時間感覚に、21世紀の音楽ならではの表現を見出すことができます。
共通してみられるのは、アコースティックな響きと、その土地の風土を反映した作曲の在り方をかたちにしていること。第一回目となる今回では、このシーンを代表するアーティストが一堂に集い、一日ニ組ずつ、三日間にわたって開催します。
時代の静寂と寄り添う、新しい音楽の息吹が聞こえてきます。
◯
以下に出演アーティストを紹介します。
まずは豪華な海外アーティスト陣。
現代アルゼンチン最高の音楽家と称されるカルロス・アギーレ。
<静かなる音楽>ムーブメントの真の発火点であり、高貴な文学性と圧倒的なパフォーマンスで過去2回の来日公演を沸かせたブラジルのデュオ、ヘナート・モタ&パトリシア・ロバート。
ジャズ~クラシカルからタンゴやフォルクローレまでの音楽言語を自在にあやつる演奏力と、作曲家としての自由な感性が高度に結晶化したギタリスト、キケ・シネシ。5月16日の公演はリーダー名義としてのコンサートで、日本で初めてその全貌を現します。
続いてどちらも個性派の邦人アーティスト2組。
弱冠21才、クラシックギターの弾き語りでナチュラルかつ独創的なオリジナル曲をうたい、細野晴臣、Cornelius、七尾旅人などからも寵愛をうける天才シンガーソングライター、青葉市子。
坂本龍一プロデュースのアルバム『ブリージング・メディア ~調子~』の発表で注目を集める笙奏者、東野珠実。雅楽団体伶楽舎に所属しながら、ジョン・ケージ作品の演奏やコンピューターミュージックへの取り組み、またYo-Yo Maの招聘に代表される、国際的な活動で知られる異色の楽人で、鎌倉公演では今年生誕100周年を迎えるジョン・ケージによる笙曲「two3」、1000年以上前の古典曲「調子」などを予定。新旧の<クワイエット>な演目といえる。
ジャンルも国もこえて、それぞれ独自の道をすすみながら、いつかどこかの街ですれ違っていたかもしれない。そんな音楽家たちが一堂に会する出会いの場でもあります。
この5月、そんな場面を多くの音楽ファンの方々と共有できれば幸いです。
2012.02.18
Renato Motha & Patricia Lobato 【sense of "Quiet" profile①】
Renato Motha & Patricia Lobato (ヘナート・モタ&パトリシア・ロバート)
今もっとも良質で、洗練されたブラジル音楽を奏でる男女デュオ、ヘナート・モタ&パトリシア・ロバート。1999年にデュオ名義初となるアルバム『アンチーガス・カンチーガス』を発表、以来2011年までに6枚のアルバムをリリース(いずれもNRTより発売)。ミナス音楽特有の透明な空気感を湛えながら、ジョアン・ジルベルトの系譜を感じさせる正統派MPBアーティストとして現代屈指の人気・実力を誇る。
近年はオリジナル作品と並行して、インドのマントラを演奏するプロジェクトも同時進行。2007年作『サウンズ:平和のための揺らぎ』は「東京のほとんどのヨガ・スタジオに置かれる定番」(ソトコト誌)となり、東京のヨガ・シーンでもっともポピュラーなアーティストの一組でもある。と同時に、2010年作『イン・マントラ』はJ-WAVE/月刊ラティーナ共催の<2010年ブラジル・ディスク大賞>関係者投票第2位に選出されるなど、幅広い支持を集める。2009年、2010年の来日公演は下記のような絶賛を受け、話題となる。
「天上の音楽と呼ぶものがあるとしたら、今、聞いているのがそれかもしれない。(中略)予備知識なしに聞いても、この音楽の美しさはたやすく伝わるものではないかとも思う。どこにも属さないがゆえに、誰でも、何かしら感じるものがある。そんな音楽があるとしたら、彼らのこの音楽こそ、それではないかと思う」
(高橋健太郎氏)
「頭のてっぺんから天空へとまっすぐに上ってゆくような透き通ったハイトーンボイスに、会場の誰もが陶然とし、浄化されてゆくように見える。(中略)サポート陣3人の抑制された演奏も、好ましい。ひとつひとつの楽器音、声がよく響き、混交して作りだす、甘美な宇宙的ハーモニーである。インドの哲学との出会いによって一層”ミナス性”があぶりだされた、見事なパフォーマンスだった。」
(朝日新聞コンサート評/松山晋也氏)
主に作曲を担当するヘナート・モタは、デビュー作の100万枚を超えるヒットでブラジルを代表するシンガーとなったマリア・ヒタにも楽曲を取り上げられるなど、コンポーザー/プロデューサーとしても数多くの仕事がある。日本のブラジル音楽シーンを代表するシンガー、chieの3rdアルバム『フロール・ヂ・ミン』(2010年)のプロデュースも手掛けている。
2012年には新作も予定している。
2009年4月26日、浄土宗大本山 光明寺 大殿でのダイジェスト映像
2012.02.18
Carlos Aguirre 【sense of "Quiet" profile②】
Carlos Aguirre(カルロス・アギーレ)
アルゼンチン音楽を代表する孤高の存在にして生ける伝説。現代フォルクローレ・ムーヴメントの精神的な支柱として、厚い信頼と幅広い支持を得るコンポーザー/ピアニスト/シンガーそして詩人。フォルクローレなど自らの郷土の音楽に深く親しみながらも、キース・ジャレットやパット・メセニーなどのジャズにも影響を受け、80年代後半より音楽活動を始める。セッション・ピアニストとして頭角を現した後、2000年代に入り、自身のグループでの活動を開始。
現在は自然豊かなパラナを拠点に、都会の喧噪とコマーシャリズムから遠く離れ、河のほとりで創作活動を続ける傍ら、自身が主宰するレーベル「シャグラダ・メドラ」より「カルロス・アギーレ・グルーポ」名義で3枚、ソロ名義でピアノ作品を1枚リリースし、どれもが名作として大きな評価を得ている。特にグルーポ名義での作品は、全てに1つ1つ手描きの水彩画を封入するなど強い美意識とこだわりを感じさせ、もはや音楽を超えたアート作品の域に達している。
遂に2010年に待望の初来日を果たし、その人気に一気に火がついた。今年5年振りとなる新作『オリジャニア』をソロ名義でリリース。
http://carlosaguirre.com.ar/
myspace
※お薦めの動画はありません。
2012.02.18
青葉市子 【sense of "Quiet" profile③】
青葉市子(あおばいちこ)
1990年 生まれる。
2007年 クラシックギターを弾き始める。
2008年 作品が生まれる。
2009年2月 青葉市子として初演奏。
2010年1月 1stアルバム「剃刀乙女」発売。
2010年7月 FUJI ROCK FESTIVAL '10に出演。
2011年1月 2ndアルバム「檻髪」発売。
2011年8月 SUMMER SONIC 2011に出演。
2012年1月 3rdアルバム「うたびこ」発売。
現在は東京都内を中心に精力的にライブ活動中です。
http://www.ichikoaoba.info/
2012.02.18
東野珠実 【sense of "Quiet" profile④】
東野珠実(笙・竽(う))
Tamami Tono, sho, u
1989年より国立劇場主催公演に参加。雅楽古典から現代音楽にいたる様々なジャンルの創作・演奏に携わる異色の楽人。Yo-Yo MA主宰The Silk Road Project、CCMIX (Centre de Creation Musicale Iannis Xenakis in Paris)に招聘されるなど、国内外で活動。ISCM、ICMC、国立劇場作曲コンクール第一位・文化庁舞台芸術創作奨励特別賞、日本文化芸術奨励賞等、作曲および笙の演奏を通じ国内外にて受賞多数。HERMES Tokyo Opening、JAXA宇宙ダンスプロジェクト『HITEN』等で音楽担当。1999年より坂本龍一氏の作品録音に参加。その他参加CDはJohn Cage『Two3, Two4』全曲録音、『Scenes of Spirits』など。"Breathing Media Arts"、"From The Eurasian Edge”を展開。雅楽団体伶楽舎に所属。2011年に本人名義でのファーストアルバムとなる『ブリージング・メディア ~調子~』(坂本龍一プロデュース)をcommmonsよりリリース。
鎌倉公演では、今年生誕100周年を迎えるジョン・ケージの笙曲「two3」、1000年以上前の古典曲「調子」などを予定。新旧の<クワイエット>な演目といえます。
東野珠実『ブリージング・メディア ~調子~』 on iTunes Store ※各曲90秒試聴できます
※お薦めの動画はありません。
2012.02.18
Quique Sinesi 【sense of "Quiet" profile⑤】
Quique Sinesi (キケ・シネシ)
「どれも驚くべきクオリティー(&技巧)の作品ばかりであり、フォルクローレ、タンゴ、ジャズ、クラシック等々が一体化した魔術的とも言うべき世界は、いわば "アルゼンチンのジスモンチ"といった趣」(松山晋也氏/ラティーナ2012年4月号)
1960年ブエノス・アイレス生まれ。アルゼンチンでもっとも重要なギタリストの1人と称され、タンゴとフォルクローレをベースに、ジャズ、即興、クラシック、ワールド・ミュージックなどの意匠を取り入れた演奏スタイルは唯一無二。7弦ギターをメインに、チャランゴ、ピッコロ・ギター、そしてアコースティック・ギターを自在に弾き、豊かなイマジネーションと、確かなテクニックに裏付けられたその音色は、瑞々しい情感と精緻な表現を併せ持つ。
14歳でプロとしての活動を始め、20代前半でバンドネオン奏者ディノ・サルーシ・カルテットのギタリストとしてヨーロッパ・ツアーに抜擢されて以降、アストル・ピアソラ・バンドのピアニストだったパブロ・シーグレル、そしてもちろんカルロス・アギーレなど、アルゼンチンから欧米まで多数の音楽家と共演し、作品を吹き込んできた。
ソロイストとしても、数々の大きな国際ギター・フェスティバルに参加。1989年発表の初ソロ・アルバム『Cielo Abierto』、98年の名作セカンド『Danza Sin Fin』を始め、これまでに5枚の作品を発表している。リーダー名義のコンサートとなる5月16日の公演で、日本で初めてその全貌が明らかになる。
『Danza Sin Fin』 on iTunes Store ※各曲90秒試聴できます
※お薦めの動画はありません。
2012.01.04
2012年の、静かなる。
ここ2年ぐらいになるだろうか。クワイエット、とか、静かなる、というキーワードで語られはじめた一群の音楽がある。
誰がそう呼び始めたかわからない。
メディアで華々しく取り上げられているというわけでもない。
その形容詞からストレートに連想されるのは、クラシックの室内楽だろうか。音楽的にはどこかでつながっているように思えるけれど、そのものずばり、ではないらしい。
なのになぜかそのひとことで、どのような音楽のことをさしているかわかる。
ざっと数百~数千人ぐらいのサークルのなかで、現在それは共有されている。
ぼくの周囲で代表的なものとして話題にのぼるアーティストは、こんな感じだ。
アルゼンチンのピアニスト/シンガー・ソングライター、カルロス・アギーレ。ギタリストのキケ・シネシ。
ブラジルのシンガーソングライター・デュオ、ヘナート・モタ&パトリシア・ロバート。ピアニストのアンドレ・メマーリ。
日本のピアニスト、中島ノブユキ。ギタリストの藤本一馬。
国もカテゴリーもばらばらだけれど、それまでになかったある空気、ムードをまとった音楽家たち。
個人的には北米のミュージシャンたち、たとえばジョアンナ・ニューサムやアントニー・アンド・ザ・ジョンソンズの音楽もそこに連なるものがあると思う。欧州にもそうした音楽が数多くあるし、人によってさまざまなものがここから足し引きされるに違いない。
◯
ところであの去年の3月以降、ぼくもなかなか音楽を聴く気分になれずにいた。
そもそも朝から晩までレコードを流し続ける習慣からはなれて、けっこうな時間が経っていることもあった。音楽は死なない、という合言葉のもと、テレビや街頭のスピーカーから、隣人の携帯電話から、あらゆる時間と場所にまでそれら音楽が押し寄せてくることにも、いいかげん辟易していた。
だからあの事故の後、あの悪しき計画停電によって静まりかえった街のようす、ほかに何も照らすもののない夜空の素朴な美しさに、自分でも意外なほどほっとしたのだ。スピーカーから響いてくる音楽よりもこどもたちの話し声に耳を傾けていたかったし、自分がその時間をどう過ごすべきかに耳を貸したかった。数日後にも関東全域が死の灰につつまれて滅びてしまうかもしれないのだから。
ぼくが「クワイエット」なるひとつの傾向を、はじめて自分のものとして、いちリスナーとして意識するようになったのは、その3月以降だ。もちろんこれまで何年もヘナートとパトリシアのレコードをつくって、紹介しつづけてきたのだし、一昨年前からは藤本一馬のアルバム制作と宣伝に取り組んできたから、もとより自分のなかでの矛盾はない。2010年ごろから、身近なところでその不思議な符合が話題になる機会も多くあった。ただぼくのなかでそれは、単に自分や、自分と近しい一部のひとびとの趣向のひとつ、共通点の一端であり、それ以上の何かであるとまでは受けとめていなかった。けれど去年はそれまで以上に、行く先々、会う人ごとに、それらがひとつの同じ音楽の仲間であり、またそのように紹介されてしかるべきものと考えられていること、またそうした音楽の視点、聴き方が定着してきていることに気づかされた。そして地震以降、さらに放射能汚染のさなかにあって、これらの音楽がひとかたまりのものとして、自分のなかに残った。浮き彫りになったのは、むしろその他多数の、集中して聴くことのできなくなったもののほうで、たとえば何が難しいといって、いまの状況と本質的なつながりのない音のなかに身をひたすということが、なかなかできない。「音楽は死なない」はその最たるものであるように思う(以降はこれを<死なない音楽>と名づけることにしよう。それらはほんとうに次から次へと出続けることをやめず、消費されることじたいを目的化して生み出されているのだ)。
◯
あるいはいっそ、音楽なんて、一度ぜんぶ死に絶えてしまったほうがいいのかもしれない。
そうしてその後に立ち上ってくる、ひとつひとつの顔をもった静かな声が、
<死なない音楽>に掻き消されることなく、それを必要としている誰かの耳に届けばいい。
そのような時代観にありながら、それでもなお寄り添うことのできるものがあるとしたら、それはどんな音楽だろう。
それは少なからず、数十年、あるいは数百年の時を超えたスケールをもつものになるはずだ。
自然のいとなみをテーマとしたものかもしれないし、
あるときは街に刻まれたひとびとの息吹のようなものかもしれない。
いずれにしてもいま生きている時代にありながら、
その背景として横たわる時間の流れを汲み取ることでうまれた、もしくはその俯瞰自体を描いたものではないだろうか。
10万年後の未来に遺恨を残したわれわれにふさわしい音楽があるとすれば、そのような音楽だけなのだから。
クワイエットと聞いて真っ先にうかぶ「静寂」の意味は、音楽そのものというよりむしろ、それを求める聴きての内に宿るものであり、そうした時間感覚への心の動き、だと思う。
2011年はそれらが顕わになった。そして彼ら音楽家どうしの交流がそれまで以上に進行した年でもあった。
2012年には彼らの新譜が数多く予定されている。そのいくつかは、来日公演も実現するかもしれない。
そうした音楽と、音楽家との出会いを今年は何よりも楽しみにしている。
今年もまた、コンサート会場で会いましょう。
――― 補足: 「静かなる音楽」、その紹介例 ―――
●ライター栗本斉さんのブログ記事 「2010年の終わりに。静かなる音楽」
...旅とリズム...旅の日記 by 栗本斉... > 「2010年の終わりに。静かなる音楽」
ミュージック・マガジン2011年1月号の記事補足。おそらく初めて雑誌媒体に掲載された、「静かなる」についての考察。
●「クワイエット」な音を紹介するフリーペーパー“Quiet Corner”。発行はHMV。web上でも読むことができる。
HMV > Quiet Corner
●上記の編集人、山本勇樹さんも参加する選曲チーム "bar buenos aires"のhp。
bar buenos aires